入浴中にラーメンを食べるネタ

 「探偵ナイトスクープ」2018年3月2日放送の「入浴中にラーメンを食べると味が変わる」ネタ、誰か再現実験をしていないかと思ってネット検索してみたのだが、とりあえず見つからなかった。 番組中でも顧問の山田善春教諭がコメントしていたが、時間制限もあって簡単すぎたので、どういう条件で現象が起こると予想されるかまでは解りにくい。 そこで、取り急ぎ物理学的に予想されることをまとめてみた。

そもそも何が起こっているのか

 山田教諭は単に「電気回路を形成して電気的な現象が起こっている可能性がある」としかコメントしなかったが、もう少し具体的に言うと、ラーメンの入った鍋が「電池」になっている可能性が高い。 「電池」になっているとすると、鍋とラーメンが両極で、スープが電解質だと考えられる。 この「電池」によって電流が流れ、それを「味」として感じている可能性がある。

 番組中、琺瑯(ほうろう)加工した鍋では現象が再現しなかったが、琺瑯というのは金属の表面にガラス質を焼き付ける加工であり電気的に絶縁する効果があるため、現象が再現しなかったと考えられる。 「鍋←→スープ←→ラーメン←→人体←→浴槽の湯←→鍋」が電気回路を形成していることが必要である。 番組中でも、鍋を湯から浮かせると現象が再現しないという指摘があったが、これは電気回路のうちの「浴槽の湯←→鍋」の部分が切断されるからである。

どういう条件なら発生すると予想されるか

 では何故、入浴中なのか。 考えられる可能性の1つは温度条件である。 全てが充分に温まっていないと、電流が弱くて感じられないという可能性が考えられる。

 もう1つの可能性は「鍋の持ち方」である。 熱い鍋の金属部分を持って支える人はあまり居ない。 普通は取っ手を持つだろう。 取っ手は通常は絶縁体である。 しかし、鍋を湯船に浮かべれば、取っ手を持っていても、浴槽の湯を通して人体と鍋が電気的につながる。 この違いは大きい。

 もし、後者の「鍋の持ち方」が本質的で、温度条件が無関係だとすると、以下のようにすれば入浴中でなくても現象が再現することになる。

しかし、それを確かめるために、「ラーメンを鍋から直接食べる」という普段行わない行動をする気にはなれない。 誰か、普段からこういうことをしている方に実験していただければと思っている。

何故ラーメンなのか

 では、ラーメン以外の食べ物でも同様の現象が起こるのだろうか。 まず考えられるのはスープの種類の問題である。 ラーメンのスープは「電池」を成立させやすい成分である可能性が考えられる。 また「金属製の鍋に入ったスープに浸かっている食材を直接食べる」という行動は、インスタントラーメン以外では、それほど多くないかもしれない。

 しかし、何より重要と考えられるのは、ラーメンの形状(つまり「麺類」であるということ)である。 「麺類」に該当しない食材であれば、鍋から直接食べるとしても、鍋の中のスープから取り出し、その後で口に入れるだろう。 しかし、ラーメンの場合には一方の端が鍋のスープに浸かっている状態で、反対側の端を口に含むことになる。 つまり、ラーメンのような「麺類」でなければ、食材がスープと人体の双方に「同時に接触」して電気回路を形成するということが起こりにくいのである。



2018年3月4日初稿/2018年3月8日最終改訂

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