古いバージョンのExcelが動く機械を残しておく必要性

 Microsoftは旧バージョンのソフトウェアを見捨てるのが早すぎる。 特に最近は、見捨てられることがセキュリティ上のリスクに直結するので実害が深刻である。 Microsoftの本音はハッキリしている。 セキュリティサポートを初めとするメンテナンスのコストを抑えるため、可能な限り早く見捨てたいのである。 寡占企業としての社会的責任を充分に果たす気が無く、必要最小限の責任で済ませたいということである。

 そういうわけで、我々は旧バージョンのソフトウェアが動作する(=新バージョンが動作しない)機械の処分を余儀なくされる。 新バージョンが旧バージョンの機能を完璧に引き継いでくれるなら、それで問題無いかもしれないが、そうとは限らない。 特に問題になるのが、古いデータの利用可能性に関わる問題である。 何年も前のデータを久々に掘り起こして再利用したいという状況が発生するのは決して珍しいことではない。 しかし、そのデータは旧バージョンのソフトウェアで作成されていることが多いだろう。 新バージョンのソフトウェアでは読み取れないかもしれない。

 この問題に対処する方法として、正攻法なのは「古いデータを読み取るソフトウェア」を活用することだろうが、それと併せて「古いソフトウェアのうち“要”となるものが動作する機械を残しておく」ことも考えておくべきであろう。 「要」として特に重要なのはExcel 2003である。 2003ではなくもう少し古いバージョンでも構わない。 重要なのは「2007よりも」古いことである。

 Excel 2007を含むMicrosoft Office 2007では、標準ファイル形式が変更された。 拡張子「.doc、.xls、.ppt」などで識別されるファイル形式から「.docx、.xlsx、.pptx」などで識別されるファイル形式に変更されたのである。 それと同時に、それ以前のバージョンで読み込むことができた古いファイル形式に対応しなくなった。 特にExcelでは、読み込めなくなって困ったことになったファイル形式が多かったのである。

 Excel 2007で見捨てられた形式のファイルに遭遇した場合、Excel 2003以前が手元にあれば、一旦それで読み込んだ後、Excel(2003以前)の標準ファイル形式に保存することができる。 これはExcel 2007以降で読み込むことができる。 つまり、Excel 2003をファイル変換ソフトとして使うことができるのである。

 しかし、同一機にバージョンの異なるExcelを共存させることは困難(ほぼ不可能)である。 従って、Excel 2003を動作させるだけの機械が必要になる。 ファイル交換手段(USBメモリなど)があれば、ファイル変換機として役立てることができる。

 Excel 2003が標準でインストールされていたのは、基本的にはWindows XP以前の機械である。 しかし、Windows XP機のうちでも後期のものにはExcel 2007がインストールされていることが多い。 その場合には一旦アンインストールして古いExcelをインストールするダウングレードを何とかして実施せねばならない。 Excel 2003あたりはネットワークに接続して認証せねばインストールできないので、もう少し古いExcel 97あたりへダウングレードする必要がある。

付記1

 Excel 2007で見捨てられたファイル形式としては、以下のリストが流通しているようである。

.xlcExcelグラフ:Excel 3.0以前
.wk1, .wk2, .wk3, .wk4Lotus 1-2-3
.wksMicrosoft Works
.dbfDBASE II/III/IV
.wq1, .wb1, .wb3Quattro Pro
しかし、このリストには何故か「Lotus 1-2-3日本語版」のファイル形式(.wj1, .wj2, .wj3, .wj4)が抜けている。

付記2

 Excel関係で「古いデータを読み取るソフトウェア」を検索してみると「三四郎ビューア」に行き当たることが多い。 使用経験が無いので評価できないが、それなりに優秀なのだろう。


2018年4月14日初稿

戸田孝の雑学資料室へ戻る

Copyright © 2018 by TODA, Takashi