今どき(2010年代)のPCでフロッピーを使うための情報

FD:フロッピー・ディスク=可搬記憶媒体そのもの(実際にデータが収録されているモノ)
FDD:フロッピー・ディスク・ドライブ=PCに内蔵あるいは接続する、FD内のデータを読み書きするための機器

 古いデータを久々に掘り出して参照したいというのは決して珍しいことではない。 しかし、そのデータが現役の機械では通常使わない古いメディアに収められていて、読み出し方法が無くて困るということがよく起こる。

 2010年代の時点で、この事態に陥ることが最も多いのはFDに収録されたデータであろう。 そうなった場合、最近のFD利用に関する情報を求める必要があるが、要領良くまとまったものは少ない。 1990年代に常識的だったFDに関する情報は、常識的だったゆえに、それだけが簡潔にまとめられることは少なかった。 そしてその後、2010年代に至るまでにどういう変化があったかという情報も、簡潔にまとめられているものは少ない。 そこで、それをまとめてみた。

FDの種類

媒体形状

 FDには大きさの異なる3種の規格がある。 実は他にも色々あったのだが、この3種以外は全くと言って良いほど普及しなかった。

ほとんどの人は8インチのことを「特に巨大なFD」と認識していたと思うが、これが本来の「標準」である。 最終的には3.5インチが「普通の大きさ」になったが、元々は「小型化が進んだ結果」なのである。

 ちなみに、floppyという言葉の「だらりとした・柔らかい」というイメージに合うのは8インチと5インチのみである。 3.5インチは硬質プラスチックか金属のケースに入っており、読み書き部分を保護するシャッターが装備されていて、FDDに挿入すると見えないところでシャッターが開くという頑丈な設計になった。 8インチや5インチは読み書き部分の磁性体が露出しており、使用時以外は露出部を保護するために専用の紙袋(「袴」と呼ぶ人も居た)に収納することになっていた。

記録密度・記録容量

 FDには同一形状でも記録密度の異なるいくつかの種類がある。 8インチの最初の普及規格は「1S」(片面単密度)と呼ばれ、その後「2D」(両面倍密度)が普通になった。 5インチは「2D」が「2DD」(両面倍密度倍トラック)になり、「2HD」(両面高密度)になった。 同じ「2DD」や「2HD」でも、データの詰め込み方や区切り方に何種類かの流儀があり、各々をどう呼ぶかにも流儀があって混乱している。 3.5インチは、同じ記録密度ではなく同じ記録容量の5インチと同じ呼称を使うことが多い。

 3.5インチは、記録容量で以下の3種に大別することができる。

640KBと720KBが同一分類なのは、無理がない程度にスキマを空けてデータを入れてあるか、無理矢理詰込んでいるかの違いに過ぎないからである。 1トラック(同一円周上の同一面にあるデータの集合体)あたりのセクタ(物理的な読み書き単位)数から「8セクタ/9セクタ」と呼ぶこともある。 3.5インチは5インチをそのまま縮小したように見えて論理的に同等となる規格になっている。

FDDの入手可能性

3.5インチFDD

 21世紀に入って数年経つまでの間、PCには3.5インチFDDが内蔵されているのが普通だった。 その後はFDDは内蔵されなくなり、USB接続が一般化した。 2010年代前半のうちにFDDの製造は無くなったようだが、中古市場にはまだまだ流れている。

 FDDの入手を考えるときに注意が必要なのは「1.2MBへの対応可能性」である。 640〜720KBと1.44MBは、容量が丁度2倍であることもあって、多くのFDDで両方を扱える。 しかし、1.2MBを扱う場合にはFDDとしての動作を切り替える必要があるらしい。 このことに対応しておらず、1.2MBに対応できない機器が多い。 当然、対応している機器は少し高価である。 対応機器は一般に「3モード対応」と称されている。

 NEC PC-9801のデータを扱う場合には1.2MBへの対応、即ち3モード対応FDDの入手が必要となる可能性が高いので、留意するべきである。 NEC自身がPC-9801販売終了直後に3モード非対応のFDDを内蔵したPCを売っていたという、冗談としか言いようの無い事態になっていたことにも留意が必要であろう。

5インチのUSB接続FDDは存在しない?

 2011年と2014年に、ネット上の中古市場で「USB接続の3モード対応3.5インチFDD」を購入したのだが、このとき「USB接続の5インチFDD」も探している。 しかし、全く見出せなかった。 どうやら世の中に存在していないらしい。 不思議な話だ。

 例えばNEC PC-9801では1993年まで5インチFDD内蔵モデルがリリースされている。 つまり、1998年ごろまで5インチFDは標準的なメディアの1つとして使われていたと考えるべきであろう。 一方USBは1996年に規格が確定し、1997年には採用PCが多種リリースされて急速に普及している。 急速な普及の背景には、Microsoft Windowsの普及に伴って、その対応に特化したIBM-PC互換PCの標準規格が整備され、USBがその一環だったということがある。

 即ち、5インチFDとUSBは、ギリギリではあるが、確実に時期が重なっているのである。 それにもかかわらず、「USB接続の5インチFDD」を誰も作らなかったというのは不思議としか言いようが無い。 確かに市場規模は小さいと予想されただろうが、少数のニッチメーカーが成立しないほど小さかったとは考え難いのだが……

 ちなみに8インチFDは、1990年代後半には、ほぼ見かけなくなっていた。 元々PCに内蔵できる大きさではなく、専ら8インチFDのみを使う場合はFDD非内蔵モデルに8インチFDDを外付けすることになっていた。 しかし、例えばNEC PC-9801は1982年発売開始の翌年を最後にFDD非内蔵モデルがリリースされていない。 この状況ではUSB接続の8インチFDDを期待する方が無理である。

FDDの論理的使用可能性

 Windows 10が2015年にリリースされる直前に、FDDが使えなくなるという噂が流れて物議を醸した。 実際には、リリース前の公開試験版にFDDを扱うドライバが組込まれておらず、自力で入手してインストールする必要があったということらしい。 正式版では標準で組込まれているようである。

 Windows 10では深刻な問題にはならなかったが、今後別のシステムで同様の問題が発生する可能性は高い。


2018年4月18日初稿

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