基礎知識:銀行の“序列”について

 “護送船団”体制と言われたバブル崩壊以前の銀行業界には、 それ相応の厳然たる「身分制度」がありました。 現在でも、法律上は変わっていませんが、 垣根を取り払う方向に変革が進んでいます。

 「金融機関」には「証券金融機関」や「保険会社」も含まれるのですが、 一般に「銀行の類」と認識されていると思われる、 「預金を扱う民間金融機関」には、以下の序列があります。

  1. 都市銀行(旧「外国為替銀行」を含む)
  2. 地方銀行
  3. 相互銀行(現在は該当無し)
  4. 信用金庫
  5. 信用組合(正しくは「信用協同組合」)
そして、その他に“序列外”として特殊な業務を扱うものがあります。 他に大蔵省管轄外の別格として「農林水産金融機関」 (農林中央金庫・農業協同組合・漁業協同組合)と 各種の政府金融機関(いわゆる「公庫」など)、 そして郵便局があります。 これらは「預金」は扱いませんが、 「貯金」を扱ったり、銀行なみに融資をしてくれたりするので、 まあ、世間一般の感覚としては“銀行”の仲間でしょう。

 これらは一般に「銀行」と認識されていることが多いと思われますが、 実は法律上「銀行」なのは、「銀行」と名乗る金融機関のうち 相互銀行以外の4種(都市・地方・信託・長期信用)だけです。 なお、この4種を総称して 「全国銀行」という変な呼び方で呼びます。業界組織の 「全国銀行協会」なら 納得できるんですが、種別名に使われるとちょっとねえ……

 では、それ以外は何かというと、 政府金融機関と郵便局は全くの別格として、他は下表のように分類されます。

中小企業金融機関農林水産金融機関
中央金庫商工組合中央金庫農林中央金庫
協同組織金融機関 相互銀行
信用金庫
信用組合
労働金庫
農業協同組合
漁業協同組合

 これらが「銀行」とどう違うのかというと、 「銀行」は不特定多数を相手に、つまり誰でも顧客にできるのに対して、 「協同組織金融機関」は「組合員」相手にしか 金融を行ってはならないというのが基本です。 例えば、信用金庫や信用組合は大手銀行から相手にしてもらえない 地域の中小企業やその従業員を対象にするという建前があり、 組合員となるには事業規模や住所地の制限があります。

 とはいえ、それはあくまで原則で、例外はいろいろあります。 例えば、信用金庫は貸出が制限されるだけで、 預金は不特定多数から集めて構いません。 その他、一定の割合で「員外利用」が認められるなど、 抜け道はいろいろあります。

 検索エンジンで探してみると、「大分みらい信用金庫」のページに 銀行・信用金庫・信用組合の比較表がありました。 また、「泉州信用金庫」のページに 信用金庫法成立までの簡単な歴史が掲載されています。 参考になれば幸いです。


2001年1月23日初稿/2001年10月16日最終修正/2012年7月17日ホスト移転

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