クレジットカード会社の提携関係について


このページの内容は2002年ごろまでの状況に基づいて書いたもので、その後の状況の変化を逐一フォローできずにいるため、古くなっている内容が多々あります。 しかしながら「どういう経緯で現状がこうなっているのか」を知る手懸りとしては有用だろうと思うので、その旨の注釈をつけて、古い文章を残しておくことにします。 デッドリンクも敢えて修正していませんが、銀行に関する「現○○」の表記だけは修正しておきました。 なお、2003年以降の主な変化は、以下のようにまとめることができるでしょう。
  • 「UFJカード」と「Nicos」が合併するなど、性格の異なるカード会社の合併や業務統合が進み、この文章で展開した分類が単純には適用できなくなってきている。 なお、「UFJ Nicos」は、親会社のUFJ銀行が東京三菱銀行と合併したのを追いかける形で「DCカード」と合併したが、会社組織は1つでもカードブランドは元のものを継続して並列的に扱うというややこしいことをしている。
  • 流通系カード(狭義)は全体的に流通系色を弱めている傾向があり、「ポケットカード」だけでなく「OMC」や「セゾンカード」も、元々の母体となった流通グループとの関係を薄めている。

 最初にお断りしておきますが、 このページの話は、クレジットカード利用の「必須情報」ではありません。 理解せずとも、カードはちゃんと使えるし、 トラブルの元になることも考えにくいものです。

 しかし、この内容をきちんと理解しておくことで、 クレジットカードのサービス内容を迅速に把握できるかもしれません。 もしそうなれば、手持ちのカードを有効に利用したり、 自分に合ったカードを選択したりすることが容易になる可能性はあります。

 この話題をこのような形にまとめようと思ったきっかけは、 fj.rec.railやfj.rec.rail.ticketsで、 「みどりの窓口」でのカード利用が話題になったことです。 でも、以下の話はクレジットカードの一般論で、 「みどりの窓口」に限った話ではありません。

「VISAカード」という言葉の混乱

 VISAは クレジットカードのメジャーな国際ブランドです。 日本国内でクレジットカードを作ると、 「VISAを付けることができる」ケースが少なくありません。 そこで、どのクレジットカードにVISAを付けたかによって、 UC-VISAだとか DC-VISAだとか セゾンVISAだとか いう要領で「なんとかVISAカード」と呼ぶのが普通です。

 ところが、それとは別に、単に「VISAカード」を名乗る、 一群のクレジットカードがあります。 しかも、よく見てみると、その一群の中に、 VISAカードではない「Masterカード」が紛れ込んでいたりします。

 実は、この一群は「(旧)住友系」と呼ぶべきもので、 自ら「三井住友VISAカード」 (2001年4月に住友銀行が合併して「三井住友銀行」になるまでは 「住友VISAカード」)を 名乗っている場合もあります。 あるいは「VISAジャパン協会」を 名乗ることもありますが、流石にこの場合は自分たちが発行している Masterカードのことは避けて通っているようです。

 いずれにしても、あまり適切な名称とは言えない (この点については、例えば もりもりさんのページを参照)のですが、 他に適当な名称も無いので、 以下では基本的には「旧住友系」と呼ぶことにします。

 ちなみに、任意のクレジットカードが「旧住友系」であるかどうかは、 加入申込書を兼ねたパンフレットなどに載っているサービス内容解説に 「Prime Club」というブランド名が入っているかどうかで 判断するのが最も簡単でしょう。 なお、旧住友系のMasterカードのことを 「オムニカード」と呼ぶ場合もあるようです。

混乱の原因……旧住友系の正統意識

 何故こんな混乱した状況になったかというと、 どうも日本でVISAとMasterのブランドが普及して行った 歴史的経緯にあるようです。 実は、確かな情報源が無くって (各クレジットカード会社のWWWページ等にも 過去の経緯はあまり詳しく触れられていないのが普通) 伝聞・記憶・推測に頼らねばならない話になるのですが、どうやら

日本で発行されるVISAカードは住友系しか無かった
という時代があったことは確かなようです (以下に述べるように、1980年前後の二十年弱の間のことらしい)。 そのため、旧住友系には自分たちが「VISAカードの正統」である という意識があって、広告戦略上もこの意識を全面に出しているようです。 そして、この二十数年弱の間にVISAカードというものが充分に定着し、 「VISA=住友」という等式が多くの日本人の頭に植え付けられたままに なっているという状況もあるようです。 このような条件が重なって、混乱した状況が起こっているようです。

 日本国内における住友系のブランドイメージ定着には、 Master系列の混乱状況も寄与しているのではないかという意見があります。 古くからMasterと提携している3系列(DC・MC・UC)には、 「同じMasterなのに相互利用できない」という厄介な状況があり、 この状況が「住友=VISA」に高級イメージをもたらす元になったという意見です。 ちなみに、住友のVISA独占が崩れたのをきっかけに 旧住友系もMasterに参入するようになり、Master系3系列に危機感が生じて、 ようやく相互利用が可能になったようです。

VISA・Masterとの提携カード

 発祥はともかくとして、現在、日本国内では VISAMasterは クレジットカードの「国際決済機関」としてのみ機能しています。 「Masterだけのカード」や「旧住友系でも何でもないVISAだけのカード」は 日本では作れません。作れるのはVISAやMasterと提携している クレジットカード会社のカードです。

 このような提携カードは「銀行系クレジットカード」から始まったようです。 断片的な情報しか無いのですが、まず1967年に 住友クレジットサービス (現三井住友カード) ができて、直ちにVISAと提携しているようです (というか、元々VISAカードを日本で発行するために 設立された経緯があるとの噂)。 同じく1967年に三菱銀行(現三菱東京UFJ)系の DCカード (DはDiamond、つまり「菱」です)、 1968年には東海銀行(現三菱東京UFJ)系の ミリオンカード (現UFJカード)、 1969年には富士(現みずほ)・太陽(現三井住友)・埼玉(現りそな) ・第一・勧業(共に現みずほ)の共同(注参照)UCカード (UはUnion、つまり「共同・協力」ですね)が設立されています。

 このうち、UCカードのWWWページに、Masterと提携したのが1972年で、 VISAと提携したのが1988年であることが明記されています。 多分、DCやミリオンも同様の時期でしょう。 この1988年というのは、住友系の「日本でのVISAブランドの独占」が 崩れるというエポックメイキングだったようで、 セゾンカードダイエーOMCカード (現OMCカード) という流通系カード2社がVISAおよびMasterと提携した年でもあります。 住友Masterが発生したのも同時期なのは間違い無いようです。

 この1988年のドタバタのそもそもの始まりは、前年末に Nicos(日本信販)カードが 住友系の頭越しにVISAインタナショナルと直接に提携したことだったようです。 Nicosはさらにその前年の1986年にVISAカードを出しているようで、 この時は住友系と提携していたのでしょうか? いずれにしても、このあたりからゴタゴタが始まっているようです。

 なお、VISAが 独自の日本法人を作ったのは1983年のようで、 直接関係あるのかどうかわかりませんが、 この年に「VISAジャパン(株)」が「VISAジャパン協会」に 改組されているようです。

WWWページから読みとれる提携時期(1999年11月調査/2001年1月,10月補充調査)

カード発行会社 VISAとの提携Masterとの提携JCBとの提携
銀行系カード
旧住友系 1967年不詳未提携
DCカード 不詳不詳未提携
旧ミリオンカード(MC) 1988年1968年(2002年)
UCカード 1988年1972年未提携
バンクカード(地方銀行系) 1990年1990年1990年
JAカード(協同クレジット) 1990年1983年1994年
流通系カード(狭義)
OMC(元ダイエー系) 1988年1988年1993年
セゾンカード(西武流通系) 1988年1988年1995年
Aeonカード(ジャスコ系) 不詳不詳不詳
ポケットカード(元ニチイ系) 未提携1993年未提携
UCS(ユニーカード) 不詳不詳不詳
UCSのページでカードの写真を見ると、 VISAカード(郵貯提携を除く)にのみMCのロゴが入っています
トヨタファイナンス 2001年2001年2001年
信販系カード
Nicos(日本信販) 1986年1987年未提携
オリエントーポレーション 不詳不詳不詳
WWW上で公開されている規約の文章を読む限り、 オリコはVISAのみUCカードとして実現しているようです
GC(もと総合信販) 未提携未提携1990年
アプラス(もと大信販) 1990年2000年1988年
セントラルファイナンス 不詳不詳不詳
ライフ 不詳不詳不詳
JACCS(もと北日本信販) 1989年1989年1990年
国内信販 不詳不詳未提携
山陰信販 不詳未提携不詳
クオーク(日総信と東総信の合併) 不詳2000年不詳
NOVA(日立キャピタル) 不詳1997年1985年
消費者金融系カード
アコム 未提携1998年未提携
アイク 未提携不詳未提携
注:消費者金融では、他に プロミスも JCBカードを出していますが、これはGCとの提携によって実現しているので、 この表で整理する対象では無いことになります。

「カード発行会社」のJCBと「決済機関」のJCB

 「銀行系カード」には、上の表に出てきた6社の他に JCBカードがあります。 1961年という随分早い時期に三和系のカード会社として設立したもので、 1968年には三和(現三菱東京UFJ)・大和・協和(共に現りそな)・三井・神戸(共に現三井住友)の 共同出資(注参照)による会社に改組しています。 長い間「日本国内では強いが海外では全然使えないカード」だったのですが、 WWWページによると、1981年から世界展開を始めたとのことで、 VISAやMasterと提携しない日本製国際ブランドになっています。

 JCBは、1990年台に入ってから、VISAやMasterと同様の「決済機関」の立場で 信販系・流通系クレジットカードと提携するようになったようです。 これは、ユーザ層が同じ銀行系カードはともかく、 信販系・流通系カードというユーザ層のズレるカードまで VISAやMasterとの提携で国際性をアピールし始めると、 JCBの顧客獲得力が弱くなってしまうという懸念からだと推測されます。

 ということで、JCBとして使えるクレジットカードには 「本来のJCBカード」と 「JCBが決済機関として関わっているカード」の 2種類あるという状況になっているわけです。 当然ながら、サービス内容に差異が生じるので、 どちらであるか簡単に見分けることができれば便利ですね。

 ところが、「単に普通のJCBカードではない」という理由で 「本来のJCBカード」ではないと結論することはできません。 後述するように、「ブランド付きではあるが、 クレジットカードとしての本質は本来のJCBであるカード」が 存在するからです。 では、どうやって見分ければ良いかというと、 以下のような手がかりから大体の見当がつくでしょう。

各銀行のクレジットカード子会社

 さて、以上の話をさらにややこしくするのが、 「銀行と“JCB・UC・DC・旧ミリオン・旧住友系”との合弁子会社」の存在です。 親会社が単独の銀行であるDC・旧住友系については、 その親会社である東京三菱・三井住友には 別途子会社がありません(あたりまえだ!)が、 他の銀行は子会社を作っているようです。 地方銀行などでは、複数の系列(例えばJCBとUC)の合弁子会社を 各々作っているケースも見られます。

 旧ミリオンも親会社は東海銀行単独だったので 「別途子会社が無い」分類に属していました。 ところが、2002年1月に親会社が三和銀行と合併してUFJ銀行になる際に、 三和銀行とJCBの「子会社」であるフィナンシャルワンカード(旧三和カード)と 合併して「UFJカード」になったため、JCBに関しては「別途子会社」で VISAとMasterに関しては「グループの本社」という ややこしい存在になってしまいました。

 その結果、例えば「JCBカード」には 「JCB本社」発行のものと「さくらカード」発行のものと…… という具合に、発行会社の異なるものが存在することになります。 加入申込書もよく見てみると、宛先がJCB等の「本社」になっているものやら、 子会社になっているものやら、両方の連名になっているものやらいろいろです。 御丁寧にも「カード発行会社は、決済口座の金融機関に応じて 所定の方法により決定します」なんて書いてあるものもあります。

 我々利用者としては、カード発行会社の違いに注意が必要なのでしょうか? 結論から言うと、「気にしなくて良い」ようです。 私自身「しがぎんDC」の普通のカードから 「DC本社」のブランド付きカードを経て、 更に「しがぎんDC」のブランド付きカードへと乗り換えた経歴があるのですが、 利用明細も同じ用紙に会社名を印刷し分けたのを送ってくるし、 サービス内容にも違いは無いようでした。

 約款を見ても、本社発行と子会社発行との違いを吸収して 全く同一のサービスを提供できるように工夫している様子があります。 そもそも、この子会社というのは、各銀行の顧客獲得能力を有効活用するため、 各々の銀行グループの業績になるように設立されたのではないかと推測されます。 そうだとすると、どの子会社から発行しても、利用者サイドからは 「本社」発行のものと全く同一に見えるように工夫するのは 当然のことと言えるでしょう。

 極端なケースとして、親会社の銀行が倒産するような騒ぎにでもなれば、 その銀行の子会社発行のカードを持っている人だけに及ぶ被害というのが 発生するかもしれません。逆に言うと、それくらい極端な場合でなければ、 違いは無いと考えて良いだろうと思います。

「流通系カード」の広義と狭義

 最近は、クレジットカード会社が商店やメーカーなどと組んで、 その商店等のブランドのカードを発行するケースが増えています。 この種のカードも「流通系カード」に含めて解説している文献も多いようですが、 カードの機能やサービスについて整理する場合には 区別して考える方が便利です。

 この文章では、
「純粋の流通系カード」 全く独力でクレジット業務を遂行しているもの
「ブランド付きカード」 商店等が銀行系や信販系のカード会社または 他の「純粋の流通系カード」と提携して そちらにクレジット機能を負う構造になっているもの
「広義の流通系カード」 上記2種の総称
と定義しておくことにします。

 この2種を区別するには、加入申込書の宛先、 あるいは発行されたカードの裏面に記載されている 発行会社を見るのが、最も確実です。 クレジットカード会社(商店等の子会社で、 専らその商店等に関わるクレジット業務を扱っている と考えられるクレジット会社を除く)の名義になっていたり、 あるいは商店等との連名になっていれば、 ここで言う「ブランド付きカード」であると判断できます。

 また、入会案内のパンフレットに提携カード会社のサービスが きっちり説明されていて、クレジットカード自体にも 提携カード会社のロゴが明示されている場合にも、 やはりここで言う「ブランド付きカード」であると判断できます。 「提携カード会社のサービス」を峻別するには、 既に述べた「旧住友系」を 識別するブランド名である「Prime Club」や、 JCB固有のサービスである 「JCB Plaza」などのブランド名に関する知識が役に立ちます。

 クレジットカード会社によっては、 「こんなにいろいろな商店等と提携してるんだぞ」と 積極的に広告する意味で、「ブランド付きカード」の 一覧表をWWWページなどにデカデカと出していることもあります。 こういう資料を入手しておくと、判断しやすいですね。

 全てを尽くすような調査を行ったわけではありませんが、 私が個人的に情報を集めた中で、 確かに「純粋の流通系カード」であると認められるのは、以下のものです。

 また、両者の中間的な存在であると思われるものもあります。 即ち、独自にもクレジット業務を遂行していて、 カードの利用状況によっては提携カード会社を通さずに クレジット機能を実現していると思われるもので、 今のところ、以下のものが私の調べにかかっています。

この中でよくわからないのが日産クレジットです。 国内信販の 優待割引サービスである「C-SYSTEM」が使えるのですが、 このC-SYSTEMのロゴを使っている以外には、 入会案内の解説にも規約にも申込書にも、国内信販の影は全くありません。 日産クレジットが優待サービスの利用に関してのみ 国内信販と協定しているということなのでしょうか?

「ブランド付きカード」を巡って

 上記で「ブランド付きカード」と定義したカードは、 クレジット機能を提携カード会社に依存していています。 従って、クレジットカードとしての本質は カード会社で決まると考えるべきでしょう。 そして、商店等は、クレジット機能とは別に、 何らかの機能や特典を付与しているわけです。

 この文章で「広義の流通系カード」と定義したものを 「流通系カード」と「メーカー系カード」に区別して 解説している文献が多く見られます。 これは、「付与される機能や特典」に「メーカーか小売か」という違いに 関わる質的な違いが生じるため、これらを区別すれば、 カードのサービス面を検討する上で便利だからだと思われます。

 その「機能や特典」は様々です。最も極端な例として、 JAFカード を考えてみましょう。この場合には、単にクレジットカードと会員証が 1枚に合わさっているだけで、大した特典はありません。 確かに、会費の決済方法がそのクレジットカードになるのですが、 JAFカード以外のクレジットカードで決済することもできますし、 付随する特典は、会費を口座引落にした場合と同じです。

 しかし、一方では、クレジットとの提携カードは「特別な会員証」として、 通常の会員とはちょっと違ったサービスを提供する例もあります。

 いずれにしても、「ブランドつきカード」であることを見抜いたら、 「ブランドの無いクレジットカードの本来の機能・サービス」と 「ブランドつきであることにより付加される機能・サービス」とを 分離して考えてみることをお勧めします。 この作業が適切に行えれば、そのカードが 自分にとって相応のメリットがあるものかどうかを 迅速に判断するのに役立つでしょう。

カード会社が影を隠している場合

 なお、信販系カード会社との提携カードの中には、 カード会社が影を隠しているものもあります。 つまり、加入申込書の宛先・規約の当事者表示・カードの発行者表示などを よく見ないと、カード会社の存在を意識しないことになるというわけです。 カード会社としては、本業の割賦販売のような感覚で居るのかもしれません。 あるいは、カード会社が商店等のクレジット業務を 代行していると考えても良いかもしれませんね。

 この場合、信販系カードとしてはクレジット機能以上のサービスは提供されず、 一般の商店等では、その信販系カード会社の通常のカードが使える店でも 利用できないことになっているものも少なくありません。 私の調査にかかった範囲では、以下のカードが該当します。

提携関係の少ないカード

 さて、実は以上の話の中で、以下の2つの メジャーなクレジットカードのブランドが登場しませんでした。

アメリカン・エキスプレス(AMEX)
ダイナースクラブ
 このうちAMEXは、提携カードを作らないことで 見掛けの異なる種々のカードが氾濫することを防ぎ、 それによって、クレジットカードとしてのブランドイメージを 保持していくという戦略(ワンブランド・ワンカンパニー)を 採ってきたようです。但し、最近になって 提携カードを限定的に作っていく戦略に転じたようで、 日本では セゾンカードとの提携カードを発行するようになりました。 この提携カードは、従来のカードと同じデザインで色を変えてあり、 この差別化によって、従来のカードのイメージ保持も 図ろうとしているように思われます。

 一方のダイナースについては、歴史的経緯がよくわからなかったのですが、 インターネットでカードのデザインがわかった限りでは、 通常カードのデザインをなるべく保持するべく苦労している様子が伺えます。 このことから、AMEXと同様、ブランドイメージ保持のために 提携を行わずに来たのが、最近になって戦略転換したのではないか と推測されます。

 UCの設立には何故か三菱銀行も出資しているという 謎が存在するようです。そもそものUCの設立趣旨には 関西系の銀行を中心の連合で設立されたJCBへの対抗という側面もあったようで、 三菱銀行も「お義理」で関与せねばならない立場だったのかもしれません。

 また、協和銀行はJCBの設立に関与しているにも関わらず、 住友系にも属するという妙な立場にありました。 1970〜80年代のいわゆる「13都銀」時代に複数のカード会社系列に 属していた都市銀行は協和銀行だけのようですが、 どういう経緯でこういうことになったのかはよく判りません。 まあ、JCBと旧住友系なら国際ブランドが重ならないので 両立するのかもしれませんが、埼玉銀行と合併してあさひ銀行になった結果、 JCB・旧住友系・UCが共存するという、とんでもない状況になってしまいました。

 合併でJCB・旧住友系・UCが共存する結果になったのは三井住友銀行も同じです。 しかし、こちらはUCへの(旧太陽銀行の)出資分を みずほグループ(富士・第一勧業)で引き取る形で、UCから撤退するようです。既に、 2001年7月から さくらカードがJCB専業になっています。 そして、UCカードの取り扱いを引き継いだ三井住友カードの UC会員向けアナウンスでは、当初は 2001年10月に旧住友系への切り替えが行われるだろうと推察される アナウンスだったのですが、今のところUCカードの取り扱いが続いてるようです。



1999年11月29日初稿/2002年10月4日本文最終改訂/2008年3月4日冒頭注釈追記/2012年7月17日ホスト移転

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