琵琶湖博物館には、博物館が対象とする各分野の専門家である学芸員の他に、学校現場から定期人事異動で配属される教員が居ます。 この教員は、学校との連携を中心とする博物館の諸業務を分担しますが、それと同時に各自の研究テーマを設定して、研究を進めます。
2005(平成17)年度から琵琶湖博物館に配属されていた教員は、最終年度(明文規定はありませんが、事実上の運用ルールとして配属期間は3年が原則)の研究テーマとして、「博物館教員のネットワーク造り」に関する内容を設定しました。 その基本前提は、学校現場出身で博物館事業に携わっているという意味で同じような立場の職員は、どうやら全国に多数居るようだが、その存在を互いに知ることが少なく、相互の情報交換が皆無に等しいという孤立感でした。 彼は、まず全国の「教員が居そうな博物館」に片っ端からアンケート調査を行い、その中で「他に知っている教員が居る博物館」に関する質問項目を入れることによって、「教員が配属されている博物館」の網羅を試みました。 そして、その情報を基礎に、「同じような立場の人たちが情報交換を行う場」としてワークショップを企画し、アンケート調査でリストアップした「博物館に居る教員」を中心とする関係者に呼びかけたところ、23館38名の博物館関係者と4校6名の学校(大学・高校)関係者が集いました。
このページでは、このワークショップ(2008年2月11日〜12日)の記録を公開します。
一次案内(first circular)(2007年12月27日)
二次案内(second circular)(2008年1月11日)
参加申込者あて配布の日程表(2008年2月7日)
参加者あて報告書(2008年3月11日)
(日付はファイルの最終更新日付です)
第1回に参集した人々の間で、このような情報交換の場を長く続けたいという意見があり、「遠方の、相互に近い複数館」からの参加者であった福岡県の人たちを中心に、翌年のワークショップを開こうという話になりました。 これは、「平成20年度全国博学連携ワークショップ」という形で無事に実現しました。 このときは、会場となった北九州市立自然史・歴史博物館(いのちのたび博物館)を利用した学校利用の具体的なカリキュラムを作るという形で、「形のある成果」を作ることを目指しました。
福岡県での開催の後、翌年には東日本へも展開しようということになりました。 いろいろ紆余曲折があって一時は開催自体が危ぶまれる状況になったようですが、関係者の尽力により、「平成21年度 海と船の博物館ネットワーク研修会」の一部として「第3回 博学連携ワークショップ」を組み込むという形で実現することができました。
第4回は再び関西に戻って、国立民族学博物館で開催されました。 このときは、同館文化資源研究センターのワークショップ事業として位置づけられ、同館の事業報告書という形で成果を文献に残すことができました。
第5回は「平成23年度全国博学連携ワークショップ in 宮崎」と題して開催されました。
参考:日本サイエンスコミュニケーション協会の活動記録共有ページへの投稿
第6回は大阪市立自然史博物館で開催されました。 このときの成果は同館の実施報告書として公開されています。
第7回は旭山動物園教育研究会による「第16回旭山動物園教育ワークショップ」を兼ねて開催されました。
第1回の開催に先立って、まず全国の「教員が配属されている博物館」の網羅を試みました。 その結果、博物館教員の全国的な配置状況がある程度まで判明したのですが、このときは 「まず、つながりを作る」ことを優先したため、徹底した調査は行いませんでした。 その後、琵琶湖博物館の共同研究事業で「つなぐ人材」に着目した研究を進めようということになり、その一環として博物館教員の網羅的調査を改めて実施することにしました(2012年度)。 その結果、都道府県立博物館の半数近くに教員が在籍していること、そのうち約4割は専ら学校との連携を分掌していること、在籍年限は半数以上であることなどが明らかになりました。 この結果は論文公表を実現しています。
戸田 孝 (2014): 博物館教員に関する全国調査: 科学教育研究, Vol.38, No.4, pp.248-259
この調査は対象を都道府県立館と政令指定市立館に限っており、他の市町村立館などのことは判りません。 幸い、この調査の直後に、日本博物館協会が中心となって定期的に実施している博物館総合調査に関わりました。 そこで、上記調査のデータと博物館総合調査のデータを照合し、多少強引ですが、政令指定市以外の市町村立では1〜2%程度,学校法人設置では10%弱程度,非営利法人設置では2〜4%程度の館に教員が在籍しているとの推定を導きました。
戸田 孝 (2016): 博物館総合調査に見る「博物館教員」の現状: pp.166-175 In: 日本の博物館総合調査研究 平成27年度報告書, 日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業研究基盤(B)課題番号25282079
なお、この調査に際して、そもそも教員を学校以外に配属する場合にどういう人事制度に基づいているのかということが問題となり、併せて調査しました。 その成果も論文公表を実現しています。戸田 孝 (2016): 教員を学校以外へ配属する場合の人事制度の地域差: 科学教育研究, Vol.40, No.1, pp.92-97
第1回「ミュージアム・ティーチャー ワークショップ」の開催から8年近くを経て、博物館教員を巡る状況も大きく改善され、当初の目標とした「まず、つながろう」というところは、種々の形で実現されるに至りました。 そこで、我々の活動は「発展的解消」ということにするべく、この8年間の活動を総括する集会を開催しました。
企画名 | ミュージアム・ティーチャー(博物館教員)全員集合!! |
全体行事名 | サイエンスアゴラ2015(10周年記念年次総会) |
日時 | 2015年(平成27年)11月15日(日)14:00〜15:30(会場は13:00〜16:30使用可能) |
場所 | 産業技術総合研究所臨海副都心センター別館11階 会議室2/3 〒135-0064 東京都江東区青海2-4-7 |