「料理の鉄人」の音楽について

 フジテレビ系列で1993年10月から1999年9月までにかけて 毎週金曜日の夜に放映していた「料理の鉄人」は、 内容もさることながら、効果音楽の選曲でも高く評価されています。
  長岡シティアンサンブルでも、1995年の第6回オータムコンサートで、 企画ステージとして「料理の鉄人」のパロディネタを演じました。 指揮者がやたらと多い楽団であるという特徴を逆手に取って、 3人の「鉄人指揮者」が各々に指揮の腕を奮って対決したというわけです。 この際、3人の指揮者の他に、企画としての進行のための 効果音楽の演奏を担当する、第4の「影の指揮者」が必要です。 私はこの役を務めると共に、 企画立案メンバーの1人として番組の音楽を徹底的に研究しました。
 以下は、基本的にはその成果に基づいてまとめたものですので、 1996年以降の変化には対応していません。 特に、イタリアンの鉄人に関連する音楽は全くフォローしていないので、 その点はご了承ください。

「バックドラフト」から採った曲

 よく知られているように、「料理の鉄人」の効果音楽の多くは 映画「バックドラフト」のサウンドトラックから採られています。
 なお、「バックドラフト」のサウンドトラックは映画に実際に使われている 音楽にかなり忠実です。特に、「料理の鉄人」に使われている 最後の4曲は、映画のクライマックスからエンディングにかけて この順で実際に使われています。 市販のビデオと同時再生して聞き較べたところ、 映画の方が曲間インターバルが長いことを除いて、完全に一致しました。
 なお、 http://www.seiyuu.com/okamoto/japan/tetsujin.htmに 各曲のタイムインデックスをまとめた表(英語)があります。 また、http://www.ironchef.com(英語) にもデータがありますが、詳細が一致していません^_^;

タイトルバック

 映画全体を通じてのメインテーマ
 最後に後日談を示しながらエンディングロールへ進む場面のバージョンを使用

挑戦者登場

 主人公兄弟の兄が頑張っている化学工場火災現場へ弟も乗込む場面

選ばれた鉄人の紹介

 墜落して瀕死の兄の目前で弟が消火ホースを握って大奮闘している場面
 なお、番組では鉄人の氏名を1文字ずつ画面に出す際に 「バリバリ」という音がしますが、この音はサウンドトラックにはありません。 番組独自に音を重ねたものと思われます。

テーマ発表

 化学工場火災現場で主人公兄弟の兄が同僚と共に墜落する場面

主宰がテーマに関する蘊蓄を垂れる(数週に1回、CM直後)

 主人公兄弟の思い出にかかわる場面の音楽
 弟が恋人を消防署へ連れてきたときのバージョンを使用
(ついでながら、この後消防車の上でエッチを始めたら 消防車が出動してしまった……)

主宰の「アレ・クウィジーヌ!」宣言直前

 墜落して瀕死の兄の目前で弟が消火ホースに取りつこうとする場面
(つまり、しばらく置いて「選ばれた鉄人の紹介」の音楽へ続く)

作品紹介

 殉職した主人公兄弟の兄と同僚の葬儀の場面
 この音楽をよく聴いてみると、最後の方で唐突にリピートする (ホルンの和声で始まる旋律へ戻る)部分があります。 ここは「録音テープを切って貼る」のに相当する手法でつないだ部分で、 原曲では、2小節の上昇アルペジオを経て結果発表後の音楽に続いています。
 映画の場面との対応としては、 「料理の鉄人」では使われていない前奏部分で葬儀の行列の全体を映し、 「料理の鉄人」で使われている前半部分で行列参加者の表情を順に映し、 上述のホルンの和声のあたりから墓地で殉死者への賛辞を述べたりする場面になり、 最後に「全員敬礼!」ということになります。

採点(試食直後)

 挑戦者登場と同じ

結果発表後のエンディング場面

 作品紹介の音楽の続きで「全員敬礼!」の場面 (つまり、英雄を讃える音楽です)

「バックドラフト」以外の曲

冒頭、主宰が挑戦者について蘊蓄を垂れる部分

 日によって音楽が違いますが、バックドラフトの音楽を 使った例に気付いたことはありません。
 http://www.ironchef.com(原文英語) によると、主としてPeter Greenawayの映画 (The Cook, the Thief, his Wife and her Lover, Prospero's Booksなど)の Michael Nymanの曲(1992年の集成CD「The Essential Michael Nyman」に収録) を使っているとのことです。
 なお、最後に鐘が「カン、カン」と2発鳴って毎回同じ音楽になりますが、 これは元々タイトルバックの音楽の直前の部分です。

鉄人迫り上がり(せりあがり)

 http://www.ironchef.com(原文英語) によると、映画「Glory」のサウンドトラックから採られているとのことです。

主宰の「アレ・クウィジーヌ!」宣言直後

 コープランド「市民のためのファンファーレ」の、 打楽器だけの冒頭部分が終わって金管楽器が入るあたりである という意見を数人から得ていますが、私自身では確認していません。

調理終了(打楽器のみ)

 今のところ、情報がありません。

審査員紹介(試食直前)

 http://www.ironchef.com(原文英語) によると、「A Bruce Lee Story」の中の「Premiere of the Big Bosses」 が使われているとのことです。

主宰・審査員登場(判定結果発表直前)

 今のところ、情報がありません。

判定結果発表待ち(ピアノソロ)

 1985年のイギリス映画「ZOO」のサウンドトラックから採っている という情報があります。動物園に勤める双子の動物学者が、 死亡した動物の腐敗過程を撮影・研究していて、 最後は自分たちがサンプルになるという妙なストーリーだそうです。

つけたし

 http://www.ironchef.com(原文英語) には、日本人としてちょっと恥ずかしくなるようなことも書いてあります。 曰く、―Universal Studioに勤める人の話によると、 Backdraftの展示で何故「料理の鉄人」の音楽が流れているのか と尋ねた日本人団体があったとのことだ― (以前は「そういう日本人来訪者が多い」という “a curious side note”があると書いてあったのですが、 改訂されています)。

謝辞

fj.rec.tvの記事<7j7h9m$onl@exagw.nk-exa.co.jp>で http://www.ironchef.comの存在を紹介していただいた yonezawa@netsys.nk-exa.co.jp氏に感謝!


1999年7月7日WWW公開用初稿/2000年8月8日最終改訂/2012年7月17日ホスト移転

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