通算第21回(1998年7月号)

系統的なシリーズを少し離れて、全体合奏などに出た話題について、その背景や発展をコラム的に散発的に論ずるシリーズをやってみたいと思います。

随時講座:合奏中の話題から(その1)

 酒井先生が合奏中に「句読点」ということをよく言われます。 要はフレージングのことですね。この「句読点」について述べるときに「弁慶が……」という例がよく出てくるんですが、これ何かわかりますか?

 実はこれ、読点をメチャクチャに打つと意味がおかしくなるという極端な例として昔から有名なものです。

「弁慶が長刀を持って……」を「べんけいがな、ぎなたをもって……」
として「『ぎなた』って何だ?」と言っているというわけです。

 この「弁慶読み」の全文には、いくつかのバージョンがあるようです。 例えば、手塚治虫氏の作品に、次のような高札が出てきます。

べんけいがな
ぎなたをもってさ
しころしたるもの
のみのうちは
とどけいづべし六はら
(弁慶が長刀を以て刺し殺したる者の身の内は届け出づべし/六波羅)
ちなみに「しころ」は「おしっこ」の意味に解してネタにしていました。

 他のバージョンが無いかという質問をインターネットのNetNews(分野を決めて不特定多数で議論するシステム)に出してみたら、次のようなバージョンに基づく落語があるという回答をいただきました。

べんけいがな
ぎなたをもってよ
しつねにさ
あととびかかる
(弁慶が長刀を持って義経に「サア」と跳び掛かる)
出典:fj.rec.history,fj.rec.comics,fj.sci.lang,fj.questions.miscより
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