いきなりですが、ラテン語には驚くほど様々な流儀の読み方があります。 でも、ラテン語という言葉は1つです。何故こういうことが起こったのでしょうか。
これは、つい数百年前までのヨーロッパでは、ラテン語が唯一「書き言葉」に使える「公用語」だったことに関係しています。 教会や大学などでは会話もラテン語だったのですが、「書き言葉」として統一されている以上は、読み方に少々の癖があっても、意思疎通にはそれほど困らなかったのです。 特に文通には全く支障無しです。
ラテン語は本来「厳格なローマ字読み」をします。 1つの文字には1つの発音しかありません。 ところが、長い年月のうちに、自国語の発音習慣に合わせるようになってきました。 例えば、「c」という文字は、本来は「カ行」の音「カキクケコ」にしか使わないのですが、仏英では「カシクセコ」、伊独では「カツィクツェコ」となりました。 「j」と「v」も本来は「i」や「u」が半母音化したもの、つまり「ヤ行」と「ワ行」なのですが、「j」は仏英では「ジャ行」ですし(日本語でも「ヤカマシイ」が「ジャカヤシイ」に訛りますね)「v」は大多数の国で唇を噛んで出す音になってしまいました。 (ちなみに「y」は本来は口を丸くして「イ」と言って出す音を表わし、専らギリシャ語起源の言葉に用います。 「w」は後世になってから発明された文字です)。
o | gloriosa | domina, | excelsa | super | sidera, | |
本来の読み | オ | グロリオサ | ドミナ | エクスケルサ | スペル | シデラ |
イタリア流 | オ | グロリオザ | ドミナ | エクスツェルサ | スペル | シデラ |
隠れ切支丹 | お | ろりおざ | どみな | えちぇさ | すぺ | しでら |
qui | te | creavit | provide, | lactaste | sacro | ubere |
クウィ | テ | クレアウィッ | プロウィデ | ラクタステ | サクロ | ウベレ |
クウィ | テ | クレアビッ | プロビデ | ラクタステ | サクロ | ウベレ |
くぃ | て | れあび | ろびで | らたて | さろ | うべれ |
http://www.etl.go.jp/etl/People/mab/data_lib/music_dic/pron_history_j.html
http://lt.sakura.ne.jp/~ikeda/music/about-messe3.html
http://www.u-gakugei.ac.jp/~mayama/diatoms/LatenPronaunciation.htm