通算第40回(2000年2月号)

 ここしばらく、予定表の合奏曲目表示でAlfred Reedの 「El Camino Real(エル・カミーノ・レアル)」のことを半ば冗談で「王道」と書いていましたが、 このことについてちょっと考えてみましょう。

随時講座:合奏中の話題から(その5)

 まず、「el camino real」というのはスペイン語です。 「el」は男性名詞に対する定冠詞(英語の「the」に相当)で、 「real」は英語の「royal」に相当し、 「camino」は「道」という意味です。 スペイン語の「real(レアル)」は、 英語の「real(リアル)」と同じ意味にも使われるようですが、 今の場合はそうではありません。

 というわけで、直訳すれば「王立道路」で、 要するに「国道」という意味なんですね。 まあ、「幾何学に王道なし」の「王道」の意味にもなることはなるようですが……

 いま問題になっている曲名に関しては、 ラテン系の曲想や作曲者の活動範囲から考えて、 一般名詞の「国道」や比喩表現の「王道」ではなく、 カリフォルニアに存在する特定の国道を指し示す固有名詞「El Camino Real」であろうと思われます。

地図  カリフォルニアは元々スペイン領でした。 その時代にSan Francisco(サンフランシスコ)から Los Angeles(ロサンジェルス:スペイン語でロサンヘレス)を経て Mexico(メキシコ:スペイン語でメヒコ)市に至るメインルートを 「El Camino Real」と呼んでいたのです(右図:但しルートの一部は推測)。

 このうち、San FranciscoからSan Jose(サンノゼ)までの区間は、 今でもメインストリートになっています。 通過交通が通る湾岸のフリーウェイ(高速道路)101号が街外れなのに対して、 こちらは街の中心部をつないでいるので、繁華街になったりもしているようです。

 インターネットで検索してみると、Palo Altoの有名なホテルや Mountain ViewにあるNTT海外子会社の拠点の住所が 「El Camino Real」だったりします。 また、牛丼の吉野屋も「El Camino Real」沿いに多いようです (個人的に吉野屋のファンと思われる人の旅行紀= http://www.msa.co.jp/~yoshi/sanjose/yoshino.htmlで紹介されていました)。

 さらにStanford大学が「El Camino Real」に面していたらしく、 コンピュータ技術者の間でも有名なようです。 実は、今回の内容をまとめる際にも、コンピュータ関係の業界用語集 「Jargon Lexicon」から重要な情報を得ました。 「El Camino Real」に関する説明は、例えば下記のアドレスで参照できます。

http://www.huis.hiroshima-u.ac.jp/Computer/Jargon/LexiconEntries/El_Camino_Bignum.html


2009年9月14日微修正(検索語対応・デッドリンクの一部差替)


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