通算第125回(2007年3月号)

 アルメニアンダンスの終楽章で多用されている「ジプシー音階」について見てみましょう。

随時講座:合奏中の話題から(その14)

 「ジプシー音階」という用語がどういう音階のことを指すかということについては、流儀や説の違いというものはなく、1つに決まっているようです。 しかし、この音階が別名「ハンガリー音階」とも呼ばれることからも解るように、基本的にはハンガリーのジプシー音楽の基本になっている音階で、必ずしも全てのジプシー音楽に適用されるものではないようですし、ジプシー音楽のみに限って使われるわけでもありません。

 ジプシー(ツィゴイネル/ロマニー)は「漂泊の民」として知られており、西欧には15世紀から姿を見せているようです。 18世紀後半以降、西欧の作曲家たちが非西欧的な要素に目を向け出した時に、身近な異文化であるハンガリーやスペインのジプシー音楽が研究対象となり、詳しく調べられたようです。

 ジプシーの出自については、10世紀ごろにインド西北部(パキスタンやアフガニスタンのあたり)から西へ移動を開始したというのが定説になっているようです。 となると、14世紀にギリシャへ達する前にアルメニアのあたりをうろついていたことになるので、アルメニア音楽とジプシー音楽との間に共通性があるのは不自然なことではありません。

 ジプシー音階は、そのままでは西洋音楽の和声等をつけにくいので、主題を展開したりするに際して少し違う音階に変えてしまうことがあります。 よく使われるのが下属音の#を外して和声的短音階にしてしまう方法で、アルメニアンダンスでも多用されています。 また、下属音ではなく導音の方の#を外してしまう方法もよく使われます。


ジプシー音階(ハンガリー音階)

参考文献

小学館(1994)日本大百科全書 第二版/平凡社(1988)世界大百科事典



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