通算第127回(2007年5月号)

 イタリア語講座が半年ほど止まっていますが、それはさておいて、先日練習を始めたヒンデミットの「画家マティス」に頻出するドイツ語の表情指示について、簡単に見てみたいと思います。

随時講座:合奏中の話題から(その16)

 楽譜における表情指示はイタリア語で書くのが基本的なルールですが、細かいニュアンスは母国語で指示しようとする作曲家も多々居ます。 特にドイツ語での指示を多用した曲には、他への影響力が強い作品が多いように思います。

 イタリア語講座でも述べた通り、文法的語彙をしっかり理解しておくと、細かいニュアンスも読み取りやすいし、いろいろと応用が利きます。 そこで、文法的語彙を重視した整理でざっとまとめてみました。

程度を表わす修飾語

sehr(ゼヤー)=英語のvery=伊語のmolto
noch(ノッホ):なお、いっそう、いまだに
ziemlich(ツィームリッヒ):かなりの、相当な
ein wenig(アイン ヴェニッヒ)=英語のa little=伊語のun poco

「画家マティス」に頻出する語彙

langsam(ラングザム):ゆっくり
ruhig(ルーイッヒ):平静な、静寂な、平穏な
ruhiger(ルーイゲル or ルーイガー)=ruhigの比較級
lebhaft(レプハフト):活発な、生き生きした
lebhafte(レプハフテ)=lebhaftの女性名詞等を修飾する形
breit(ブライト)=英語のbroad(幅広い、大きく広がった)
breite(ブライテ)=breitの女性名詞等を修飾する形
breiter(ブライテル or ブライター)=breitの比較級
verbreiten(フェルブライテン)=breitの動詞形(広げる)
einleiten(アインライテン)(=ein+leiten):導入する、下準備を整える
zuruckhalten(ツリュックハルテン)(=zuruck+halten):引き留める
Zeitmaß(ツァイトマス)(=zeit+maß):時間の単位(=拍子)
im Zeitmaß(イム ツァイトマス):拍子の中で(つまり正確なテンポで)



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