2000年10月8日の第11回オータムコンサートの企画の一環としてパンフレットに挟み込んで来聴者に読んでもらう「NONCE号外」に掲載するために書いた「番外編」です。 通算回数にも勘定していません。
第11回オータムコンサートの企画ステージは、西暦2000年にちなんだ団内アンケートに基づいたものになります。 そこで西暦2000年「ミレニアムイヤー」について考えてみましょう。西暦2000年を新しいミレニアムの始まる年だと思い違いしている人が多いようですが、正しくは「第2ミレニアムを締めくくる」年です。 第3ミレニアムは2001年からです。
ミレニアム(millennium:千年紀)にしても、センチュリー(century:世紀=百年紀)にしても、デケード(decade:十年紀)にしても、「長さが丁度1000年、100年、10年である」ことに意味があるとされています。 となると、重要になってくるのは
千年紀にしても世紀にしても十年紀にしても所詮は人間が決めた約束ごとに過ぎません。 ですから、どのように約束しても良いわけで、2000年が千年紀の始まりになるように決めても構わないのです。 ただ、その場合には「第1千年紀が1000年間ではなく999年間になってしまう」ことを我慢せねばなりません。 実際には、長さが狂う方が不都合だと考えて、そうならないように約束ごとを決めたわけです。
ややこしいのは、キリスト教会が2000年の幕開けを盛大に祝ったという事実ですが、これは「千年紀の最後の1年間」に特別な意味があるからです。 キリスト教の教義には神の偉業が千年間で達成されるという考えがあるようです。 従って、その最後の年は「偉業が完成する」という意味で重要なので、特に「千年紀の年=ミレニアムイヤー」と呼んで祝うわけです。 逆に「千年紀の始まりの年」は、まだ何の仕事もできていないわけですから、めでたくも何ともないんですね。
ところが、この「ミレニアムイヤー」の始まりを祝う行事を「ミレニアム」の始まりを祝うものと誤解する人が出てきたようです。 そして、これにマスコミが飛びついて、誤解を広める結果になったようです。
人間心理としては、やはり1000年代から2000年代への代わり目を祝いたいと思うのは当然でしょう。 そして、マスコミはそういう心理に敏感に反応します。 しかし、21世紀が2001年から始まるということは良く知られていたので、「世紀」という概念は使えません。 そこで、それに替わるモノを求めていたところ、「千年紀」という目新しい概念が目に止まったようです。そして、 2000年の正月に「ミレニアムイヤー」の始まりを祝うという事実に目をつけ、2000年代の始まりをこれで祝ってしまえということになって、一気に誤解が広まってしまったらしいのです。