AT限定免許か準中型免許か

 愚息が自動車運転免許を取得する時期に達したのだが、自分自身のときには選択の余地が無かった「最初に取る四輪免許」が三者択一になっていて判断に困ったので、いろいろ調べてみた。 AT限定免許ができて二者択一になってからは26年も経つが、準中型免許ができて三者択一になってから、まだ半年経過していない。 そこで、ざっと調べて考えてみた結果を公開してみることにした。

AT限定免許の可否

 普通免許をAT限定で取得するべきか、限定無し(いわゆるMT免許)で取得するべきかについては、ネット上にも種々のアドバイス情報が見られる。 「小型乗用車を乗り回すだけのつもりならAT限定で充分だが、MTの方が就職で有利になる場合があるし、海外でも通用しやすい」という観点で論じているものが多いようだが、1つ別の観点を提示したい。 それは、頭の中が「理系」の人は、MT車で習う方が圧倒的に楽ということである。

 どういうことかというと、AT車はMT車に比べて「何が起こっているのか解らない」傾向が強いということである。 巧く動かないときに、AT車よりMT車の方が「それが何故なのか“メカを扱う感覚”で直感的に理解できる」ことが多い。 従って「理系人間」にとっては、MT車で習う方が「自動車というもの」を楽に理解できる。

 免許のAT/MTで迷っている人には、自分の頭の中が「理系」かどうか考えてみることをお勧めする。

準中型免許の可否

 結論から言うと、準中型の取得を考えるべきなのは直ちに(2年以内に)貨物自動車を運転する現実的な可能性がある人だけである。 それ以外の人は(2年以上経ってから)必要が生じたとき準中型を飛ばして中型を取得することをお勧めする。

 四輪自動車運転免許の各段階が、どの程度のハードルであるかを、技能教習の教習時間数(指定自動車教習所での標準(=最短)時限数)で評価してみよう。 まず、全く飛ばすことなく順番に取得していった場合には、以下のようになる。

免許なし―34→普通―13→準中型―9→中型
最初に準中型を取った場合は、
免許なし―41→準中型―9→中型
となり、6時限の短縮となる。 一方、準中型を飛ばした場合には
免許なし―34→普通―15→中型
となり、7時限の短縮となる。

 準中型免許というのは、中型免許を経験年数必須としたため運送業界で人手不足を起こす原因の1つになったことを踏まえて創設された経緯がある。 そのため、準中型免許と中型免許は性格が似通っている。 普通免許から昇格する場合のハードルが準中型と中型でほとんど変わらない設定になっているのは、このことも背景にあるだろう。 このようなことを考えてみると、急いで準中型を取得する必要が無い人は、中型が取得できるまで待った方が得策だと考えられる。

 参考までに、大型免許を取得する場合の教習時間数は、

中型から14
準中型から23=短縮なし
普通から30=中型を一旦取るより1時限増
であり、どういう順序で取っても大差は無い。 なお、AT限定免許の教習時間数は3時限短い31時限、AT限定の解除には4時限を要し、AT限定免許から準中型・中型・大型を取得する際にも各々4時限増となる。 また、二輪免許を既に取得している場合には、最初の四輪免許取得の際に2時限短縮となる。


2017年8月3日初稿

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