「ホームページ」さまざまな用例集

 このネタは、作者である久野さんがWWWに掲載するのが筋なんでしょうが、 当人にその暇が無いようですし、 解説にも記載されている立場で関わった戸田の責任で HTMLバージョンを作成してみました。

 最新版(ver. 2005.9.2)のオリジナルは、 NetNewsのfj.net.wordsとfj.net.wwwに投稿された記事 <050902172754.M0170015@sma.gssm.otsuka.tsukuba.ac.jp> (Date: Fri, 2 Sep 2005 08:27:54 GMT)です。 なお、作者である久野さんのプロフィールについては 所属機関の教員紹介などを参照してください。

 なお、この件に関する戸田自身の見解は別ページにまとめてあるので、御参照ください。


「ホームページ」さまざまな用例集

ver. 2005.9.2 by Kuno

[解説1]

「ホームページ」という言葉は本来「ブラウザのスタートアップページ」(分類A)ないし「WWWプレゼンテーションの入口ページ(分類B)のいずれかを表すものです。 しかしその後何でもかんでも「ホームページ」と呼んでしまう「誤用」(もっと穏やかに言えば「俗語」)が増えたため、話が通じなくて困ったりします。 そういう場面に遭遇しているうちに「どれくらいどんな誤用/俗語があるんだろう?」と思って「ホームページ」の様々な意味での用例を集めるようになった成果がこの文書です。 ここにない新しい意味を見付けた人はぜひお知らせください。

[解説2]

この用例集は最初は「思い付いた/見つけた順」だったのですが、2000年3月版から、戸田@滋賀県立琵琶湖博物館さんの提案に基づく分類を大幅に取り入れ、2002年6月版で分類を見直しました。

[解説3]

分類(J)は収集はしていますが新しい意味としては無理があるので数に入れません。 よってこの版では「ホームページ」には「29種類の互いに異なる意味がある」と主張します。

(A) 本来の用法

A1. Webブラウザのスタートアップページ

用例:
「ブラウザのHomeボタンを押すとホームページに戻ります」

A2. ブラウザのHomeボタンを押した時に行くページ

用例:
「まずHomeボタンを押してホームページを表示させてよ。」
注記:
明らかに多くのブラウザは「スタートアップページ」が「ない」(空白から始まる)ように設定できますから、この意味は1番の意味とは異なるものと考えられます。

(B) 「入口ページ」という意味を残しているという点で「本来の用法」に類すると考えて良いもの

B1. ひとつのWebプレゼンテーションの入口ページ

用例:
「○○さんのホームページに本人の写真があります」
用例:
「○○のホームページから『検索』のリンクをたどった所」

B2. Webサイトの入口ページ

用例:
「Yahooのホームページは大分類のメニューになっている」

(C) 「入口」に群を代表する性格があることからその代表する群全体に語義が拡張されてしまったもの

C1. Webサイト全体

用例:
(HP社製PC用ドライバの話題で)「hpのホームページで探しましたが見つかりません。」

C2. ひとつのWebプレゼンテーション全体

用例:
「ホームページ一式をまとめてダウンロードするには…」

C3. 特定のサイトや管理単位に属するWebサービス

用例:
「…の問題について、ホームページを停止して調査する…」(NHKニュースより)
注記:
停止した状態で調査できるということはハードやシステム全体ではないから、Webサービスのみ止めていると考える

C4. Webサイトの形で実現されているひとまとまりの事業

用例:
「ホームページを担保とした日本で初めての融資」
注記:
この用例はポータルサイトの運営に関する種々の権利を組み合わせて事業化した全体を「1個の知的財産権」と見なした表現と考えられる。

(D) 「入口」という語義はおろか、そこから派生した「群」という語義まで無視してしまったもの、およびそれに別種の限定を施したもの

D1. 任意のWebページないしWebコンテンツ

用例:
「たどっていった下の方のホームページに書いてある」

D2. WWW全体

用例:
「インターネット利用ではホームページが圧倒的に多い」

D3. Webページのうち、個人が公開しているもの

起源:
「ホームページはプロバイダーを利用して個人が公開しているような小規模なウェブページを指すことが多い」(NIKKEIプラス1 2002.4.20号)

D4. Webページのうち、個人が公開していてダサめ、ただし「HP」よりはややダサさが軽いもの。

起源:
2ちゃんねるスレ「ダサいホームページ作成マニュアル」派生サイト掲示板の書き込みから。

D5. Webページのうち、ブログに対置される「旧来の手法」で作られたもの

起源:
朝日新聞や技術評論社で「ホームページからブログに移行…」

(E) 分類(A)〜(D)に属するものを実現あるいは利用するための「手法」や「手段」など

E1. HTMLファイル

用例:
「ホームページを『メモ帳』で開いて修正します」

E2. Webサービスを実現するソフトウェア

用例:
「おたくのホームページはApacheですか?」

E3. Webブラウザ、ないしネットワーク関係のアプリケーションソフト

用例:
「…ネットワーク機器のメンテナンスに必要なアプリケーションというと、telnet、tftp、ターミナルソフト、電子メール、ホームページ、などだろう。」

E4. Webコンテンツの作成/編集/オーサリング

用例:
「ワープロ感覚の日本語ホームページソフト」
注記:
他のソフトでは「文書ソフト」ではなく「文書作成ソフト」、「図形ソフト」ではなく「図形作成ソフト」ですから、上の用例の「ホームページ」には「作成」等までが含まれているものと解釈できます。

(F) 語感から類推した新たな造語

F1. 個人の家庭や家屋に関する内容を持つWebページ

用例:
「私のホームページです(と、家族紹介のページを見せる)」
用例:
「マイホームページです(と、自宅の写真や間取りを紹介したページを見せる)」

(G) 「Webページに関わる○○」を指し示す際に「○○」を省略して表現したとみなせるもの、および最初はそうだったのかも知れないが省略と関係なく独り歩きしてしまったもの。

G1. URLないしURI

用例:
「新聞広告の隅にホームページも載っていました」
用例:
「ftp://....tar.gz というホームページから取れます」

G2. ホスト名ないしIPアドレス

用例:
「○○のホームページはwww.***.co.jpです」
用例:
「(Webサーバと全然関係ない文脈で)『traceroute ホームページ』を実行してください」

G3. 電子メールアドレス

用例:
「★★のホームページにメールして聞きましょう」
用例:
「メール送信は1時間に30ホームページが限界です」
注記:
用例1は当該Webプレゼンテーションが誘導しているアレスを指すと考えられるが、用例2はWebとは明らかに無関係

G4. 計算機システム(ハード、ソフト)

用例:
「おたくのホームページはPentium(Linux)ですか?」
注記:
Webサービス用に限定されないものを指すという点でE2と異なる
注記:
「省略と関係ない独り歩き」の事例は確認されていない

G5. 2次記憶装置

用例:
「ホームページの容量50MBまで利用可能です」
注記:
「省略と関係ない独り歩き」の事例は確認されていない

G6. メーリングリスト

用例:
(メーリングリストへのメールで)「始めまして、最近このホームページを知りました。メンバーにいれていただきたく思い、…」

G7. (Web-)BBS

用例:
「ホームページのいじめもすごいよ」(ビートたけし談)
注記:
「省略と関係ない独り歩き」の事例は確認されていない

(H) 分類(G)のさらに先として、Webページに関わる○○がポピュラーなことから、Webページではない○○を指してしまったもの。

H1. 自分が外部に対して表現している何らかのもの

用例:
「♪そうね 人生のホームページ 更新するわ 〜」(とある歌詞から)

H2. 公開日記

用例:
某週刊誌において、ゲストの1日の行動を羅列するコラムの題名が「ホームページ」となっている(Webの日記サイトからの類推でつけられたものと想像される)。

H3. Q&AないしFAQ

用例:
毎回テーマを決めて取り上げる某テレビ番組において、その回のテーマに関するQ&Aコーナーの名前が「ホームページ」となっている(Webで多く公開されているQ&AやFAQからの類推でつけられたものと想像される)。

(I) 「代表例として本用例集のどれかのものが挙げられるもの」を指し示すのに「ホームページ」を使っている

I1. インターネット

用例:
「ホームページって言うのは、世界中の人とお話ししたりできるの」(G6やG7の可能性もあるが、それらをともに包含したものとするとインターネットということになる)

(J) 一般の単語でも同様な言い方をする場合があるため、新たな用例とするには無理がありそうなもの

J1. (Webサイトを運用している)個人や組織

用例:
「○○省のホームページが被害にあった」

J2. 紙に印刷されたWebページ

用例:
「○○の印刷機能が不具合でホームページの右側が切れます」

2002年6月12日WWW公開用初稿/2005年9月13日最終改訂/2014年1月23日ホスト移転

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