「相棒」に関する備忘録

 このページは、基本的には個人的な備忘録ですが、公開すればそれなりに役に立つ情報だと思うので、公開しておきます。

 なお、「銃声と絶対音感」に関する話題は、別ページに分離しました。

「名コンビ誕生篇」新作部分の内容

 2012年7月6日にBS朝日で「相棒 名コンビ誕生篇」の再放送があった。 Wikipediaの情報で存在は知っていたが、観賞したのは初めてである。 シリーズ全体の第1作「刑事が警官を殺した!?」(2000年6月3日)の前後に新作部分を追加して、8年前を振り返る構成にしたもので、初回放送(2008年5月3日)の2日前に公開された劇場版を盛り上げるための企画である。 新作部分は、冒頭が3分弱、末尾が7分弱、合わせて10分弱である。 旧作部分は、事件解決後のエピソード(3分弱)が丸々削除されているほか、前半を中心に6分弱が細かくカットされている。 詳しくは後述の通り。

 余談になるが、再放送に際して録画機が受信して認識していた番組名は「相棒season3 名コンビ誕生篇」である。 この作品は「season3」とは全く無関係だし、何らかの意味で「第3作」に相当する作品でも無さそうである。 何の手違いでこういう題名になったのかは気になるところである。

 さて、新作部分は、亀山刑事が活躍した最後の事件を2話で扱ったうちの前半部分であるseason7第8話「レベル4〜前篇」を締めくくる容疑者逮捕劇と、一応は同じである。 ところが、相互に矛盾する内容が多々ある。 「season7第8話」の放送は2008年12月10日、つまり「名コンビ誕生篇」の7ヶ月以上も後である。 ということは、「名コンビ誕生篇」は「season7第8話」の未確定な初期構想に基づいて製作された可能性が高い。

 双方を比較してみよう。 以下、《誕》=「名コンビ誕生篇」、《7-8》=「season7第8話」を意味する。 まず、細菌兵器として利用可能な即効性病原菌を開発していた容疑者の秘密施設で、杉下警部と亀山刑事が容疑者を追い詰めようとするという状況は同じである。 しかし、

《誕》
二人は秘密施設の所在地点を突き止めたものの施錠されていて入れず、自動車内張り込みで容疑者が現れるのを待っていた(その間に最初の事件を回想する会話があったという設定)。 そして、容疑者が建物に入ろうとした時に中へ入ろうとするが施錠され、ドアガラスを割って開錠して突入する。
《7-8》
二人は秘密施設の所在地域と建物の特徴を絞り込んで探し回っていたところ容疑者に遭遇し、容疑者を追いかけて建物に突入する。

 建物に入ると階段があり、上下どちらに容疑者が居るのか判らない。 そこで、

《誕》
亀山刑事がコイントスで下を選択して走り去った後、杉下警部が上へ向かう。 亀山刑事は地下で秘密施設を発見する。
《7-8》
咄嗟に近い方を選択した結果、亀山刑事が上、杉下警部が下へ向かう。 亀山刑事は3階で秘密施設を発見する。

 その後の経緯は、両作品で特に矛盾は無い。 亀山刑事から杉下警部に携帯電話で報告があり、杉下警部は現場へ向かうが、実は亀山刑事は容疑者に病原菌の入った注射器を突きつけられて捕まっていた。 杉下警部は亀山刑事の成長を示唆する会話で過去の事件を暗示し、亀山刑事はシリーズ第1作の冒頭と同じ手法(その体勢で唯一狙える急所である足の甲を狙う)で形勢逆転して容疑者を逮捕する。 この場面の映像は全く異なるが、台詞の文言は同一である。 もちろん、台詞の間合いの取り方はかなり異なるし、聞き取りきれない細部で台詞の差異があるかもしれない。 例えば、《誕》における亀山刑事の「お前、学者だろう」という台詞が《7-8》では「お前、学生だろう」に聞こえるが、これに関しては、そう聞こえてしまうだけらしい。 容疑者は学生ではなく有給の研究者という設定である。

「名コンビ誕生篇」旧作部分の省略

 「相棒 名コンビ誕生篇」と、そのオリジナル(旧作)にあたる「刑事が警官を殺した!?」とを、映像の秒数を手がかりに比較した。 秒数が一致している部分については、内容の厳密な比較を行っていない。 なお、「相棒 名コンビ誕生篇」は2012年7月6日のBS朝日での再放送、「刑事が警官を殺した!?」は2013年7月15日の朝日放送(大阪)での再放送に基づいている。 各々録画した後、コマーシャル部分を削除したものの録画秒数による。 コマーシャルが入るタイミングは両者で一致している(旧作で25'28"、39'33"、61'21"、70'30"、77'06"の5回)。 なお、秒未満の端数を辻褄が合うよう調整した部分がある。

誕生篇旧作内容
0'00"〜0'14"再放送としてのタイトル
0'14"〜2'54"新作部分
2'54"〜13'04"0'00"〜10'10" 
1秒カット10'10"〜10'11"刑事部長と参事官の協議の冒頭、会議室のドアを開ける
13'04"〜13'25"10'11"〜10'32"刑事部長と参事官が亀山の処遇について協議
26秒カット10'32"〜10'38"刑事部長の「島流しですかな」に対する参事官の「後顧の憂いを無くすためにも」という応答、そして亀山の経歴書に「特命係」と押印
10'38"〜10'58"タイトルバック(警視庁舎遠望)
13'25"〜13'36"10'58"〜11'09"異動荷物の入った段ボール箱を持った亀山が廊下を移動
46秒カット11'09"〜11'55"サブタイトルのバック(亀山が生活安全部執務室内を挨拶しながら移動)
13'36"〜13'40"11'55"〜11'59"亀山が特命係執務室入口に到着、中に人の気配が無い
28秒カット11'59"〜12'27"戸惑う亀山の様子を伺う生活安全部員たち
13'40"〜19'48"12'27"〜18'35" 
24秒カット18'35"〜18'46"亀山と美和子の寝室での会話「要するに俺はリストラされたわけだ、頑張りようがないじゃん」「頑張んなさいよ」
18'46"〜18'59"亀山が出勤して生活安全部執務室内を移動
19'48"〜21'15"18'35"〜20'26" 
2秒カット20'26"〜20'28"右京との初対峙を終えた美和子が去って行く
21'15"〜32'23"20'28"〜31'36" 
33秒カット31'36"〜32'09"殺害された不良警官の勤務先交番で右京が聞き込み
32'23"〜51'27"32'09"〜51'13" 
158秒カット51'13"〜52'33"別犯人の存在可能性を右京が捜査一課に指摘
52'33"〜53'51"亀山が美和子に電話して「辞めたい」と漏らす
51'27"〜54'45"53'51"〜57'09" 
35秒カット57'09"〜57'44"容疑者自殺未遂騒ぎで刑事部長がマスコミに追われる
54'45"〜85'32"57'44"〜88'31" 
85'32"〜92'14"88'31"〜91'14"新作部分/旧作は事件解決後のエピソード

「劇場版 II 特別編」の追加部分

 Season 12の放映開始に先立って2013年10月13日に放映された劇場版第2作は、「特別編」と銘打って映像(劇場版の最終版に採用されなかった未公開部分らしい)が追加されていた。 これを、2012年5月6日に放映されたもの(地上波初放映らしい)と、映像の秒数を手がかりに比較した。 秒数が一致している部分については、内容の厳密な比較を行っていない。 各々録画した後、コマーシャル部分を削除したものの録画秒数による。 なお、秒未満の端数を辻褄が合うよう調整した部分がある。

2012年放映特別編内容
0'00"〜2'59"0'00"〜2'59" 
2'59"〜3'01"2'59"〜3'01"捜査一課第7係の事件解決「在庁祝」:柏手
3秒追加3'01"〜3'04"在庁祝での唱和
3'01"〜3'07"3'04"〜3'10"唱和後の司会進行
17秒追加3'10"〜3'27"捜一トリオの会話
3'07"〜3'48"3'27"〜4'08" 
4秒追加4'08"〜4'12"大河内と神戸の剣道稽古の冒頭
3'48"〜5'17"4'12"〜5'41" 
27秒追加5'41"〜6'08"部長会議へ向かうよう刑事部長が参事官に促される
5'17"〜34'16"6'08"〜35'47" 
4分57秒追加35'47"〜40'04"記者会見の直後に伊丹と神戸が目で会話
神戸が大河内から特命係創設経緯を聞く※
官房長が本来の特命係の集合写真を眺める
34'16"〜38'34"40'04"〜44'22" 
38'34"〜38'49"
38'49"〜39'04"
40'22"〜44'37"コマーシャル前後の重複15秒(朝比奈による背景説明の途中)
39'04"〜44'16"44'37"〜49'49" 
59秒追加49'49"〜50'48"神戸が伊丹への情報提供と引き換えに公安部からの資料取り寄せを依頼
44'16"〜51'48"50'48"〜58'20" 
44秒追加58'20"〜59'04"伊丹が公安部から取り寄せた資料は真っ黒に塗り潰されていた
51'48"〜70'57"59'04"〜78'13" 
26秒追加78'13"〜78'39"尾行者に気付き追うが取り逃がす
70'57"〜104'33"78'39"〜112'15" 
1分12秒追加112'15"〜113'27"朝比奈が真相を公にする意思を語ったところへ盗聴犯自首の報が入る
104'33"〜114'03"113'27"〜122'57" 
114'03"〜114'32"122'57"〜123'26"エンドロール

注1:※は、素材を再利用し(一部再撮影?)、Season 9 #9「予兆」に用いている。

注2:2012年放映分でコマーシャルが入っているタイミングのうち、前後が重複している箇所には特別編ではコマーシャルは入っていないが、他(特別編で20'53"、26'00"、40'37"、67'39"、76'27"、84'04"、96'10")は特別編と共通である。 特別編ではさらに104'58"と113'27"にもコマーシャルが入っている。

注3:エンドロールは、本来の画面の左半分の空き部分に別映像を重ねたものと考えられ、その別映像は各放映ごと異なっている。 2012年放映分では神戸警部補登場最終回撮影終了後の風景、特別編では劇場版IIIの撮影風景であった。


2012年7月12日初稿/2013年11月6日最終改訂

戸田孝の雑学資料室へ戻る

Copyright © 2012,2013 by TODA, Takashi