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勾配・発散・回転

勾配の成分は「その方向へ単位距離進んだ時いくら値が変化するか」 という意味を持っている。従ってxiで微分した後、 座標軸の目盛の間隔giで割っておかないと「単位距離」にはならない。 移動して局所基底が回ってもスカラーの値には影響しないから 気にすることは無い。結局次のようになる。

\begin{displaymath}(\mathop{\hbox{\rm grad}}f)_i = \frac{1}{g_i} \frac{\partial f}{\partial x_i}\end{displaymath}

発散については、直交直線座標では座標軸の網目で囲まれた 微小直方体の各対面で考えて3つを足し合わせた。 直交曲線座標でも同様にして、網目に囲まれた微小六面体を考える。 こうすればどちらの面でもベクトルの成分と面とが直交しており、 局所基底の回転の効果は相殺されているから、特に考える必要は無い。 直線座標と本質的に異なることは対面の面積が同じとは限らないことである。 例えば、x1軸に垂直な対面ではその面積はg2g3に比例して変化する。 従って、通過流量はv1ではなく $v_1g_2g_3 = \displaystyle\frac{v_1\eta}{g_1}$に比例する。 六面体の体積が直線座標の場合の$\eta$倍になることに注意すると、 結局発散は次のように表現される。

\begin{displaymath}\mathop{\hbox{\rm div}}\hbox{\rm\bf v} =
\frac{1}{\eta} \frac{\partial }{\partial x_l} \left(\frac{\eta v_l}{g_l}\right)\end{displaymath}

回転については、直交直線座標では座標軸の網目で囲まれた微小長方形の周で考えた。 直交曲線座標でも同様にして、網目に囲まれた微小四辺形を考える。 こうすればどの辺でもベクトルの成分と周とが平行しており、 局所基底の回転の効果は相殺されているから、特に考える必要は無い。 直線座標と本質的に異なることは対辺の長さが同じとは限らないことである。 例えばx2x3座標面上の四辺形のx3軸に直交する対辺において、 v2の値が同じでも辺の長さg2が異なれば それに比例して回転への寄与が変化する。 従ってv2ではなくv2g2x3方向の変化が意味を持つ。 四辺形の面積が直線座標の場合のg2g3倍になることに注意すると、 結局回転は次のように表現される。

\begin{displaymath}(\mathop{\hbox{\rm rot}}\hbox{\rm\bf v})_i = \frac{\epsilon_{ilm}}{g_l g_m} \frac{\partial (g_m v_m)}{\partial x_l}\end{displaymath}

ただし、 $\epsilon_{ijk}$は「Eddingtonのepsilon」である。

:以上の表現式では、 所謂「Einsteinの規約」に従って、$\sum$記号を省略した。 しかし、以下にはこの規約の適用が多少ややこしいものが登場する。 そこで、添字l, mについて和をとりi, j, kでは和をとらなくてよい という約束で読んでも良いように公式を書く。



Ichiro Tamagawa 平成11年9月24日