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調和微分というよりも、「Laplace演算」と呼んだり、演算子の名前である
「Laplacian」を演算の名前として用いることの方が多いかも知れない。
にもかかわらずこの言葉を使ったのは、スペースの都合と、
「Laplacian」という言葉がスカラーに対する演算という限定されたイメージを
若干持ち合わせているという2つの理由による。
ちなみに「調和(harmonic)」という言葉は形容詞としてはよく用いられる。
例えば、「調和関数」と言えば調和微分が恒等的に0である関数
(つまりLaplace方程式の解)のことであるし、
ある関数が別の関数の調和微分で定義されることを「調和的」と表現することもある。
さて、調和微分の元々の意味は「方向別二階微分の和」である。
この定義からは当然には座標系に独立な演算ではない。
ところが、少し計算するとわかるように、単位長さが1の直交直線座標では
が成立つ。
や
が座標変換不変であることから、
上述のの歴史的定義が座標変換に対して不変であることがわかる。
一般の座標系ではこうはいかないので、
元の定義を捨てて
を調和微分の定義とする。
こうしてが座標系によらない「実体」に対する演算になる。
直交曲線座標での表現は容易に求まる。
Ichiro Tamagawa
平成11年9月24日