7桁郵便番号と5桁郵便番号の関係

1998年2月1日から、従来3〜5桁だった郵便番号が7桁化されました。 この新番号の実施が一般にアナウンスされ、概要が知られるようになったころから、 「新番号が未知で調べている余裕が無い場合に、 既知の旧番号を書いて投函しても混乱は起こさないのだろうか?」 という疑問を抱いていたのですが、なかなか調べる機会が無く、 そのままになっていました。
新番号の一覧表データは、実施の少し前から郵政省のWWWページである http://www.postal.mpt.go.jp/lzh(現在デッドリンク、 但し http://www.postal.mpt.go.jp/は有効)で提供されていたのですが、 アクセス需要に見合った通信容量が確保されていなかったため、 使いにくい状況になっていました。
そんな中で、京大の北野さんが、ここから抽出したデータを ftp://ftp.kuee.kyoto-u.ac.jp/pub/postal-codeに置いてくれました。 (このデータはその後3月に更新されていますが、 この新しいデータは見ていません。) そこで、実施前後の1月上旬から3月上旬までにかけて、 awkとsedとfgrepを駆使して、このデータから 原則を見出して例外を洗い出す作業を進め、 その結果をfj.life.hometownとfj.soc.miscに順次投稿しました。 このページおよびリンクしているページは、 この投稿記事の内容をWWW向けに整理し直したもので、 分析結果そのものは投稿したものと全く同じです。

前提となる基礎知識

郵便番号には「地域番号」と「大口事業者番号」とがある。 「地域番号」という名前は戸田が勝手に付けたもので、 郵政省は「住所の番号」などと説明的にしか呼んでいない。 なお、「大口事業所番号」は正式には「大口事業者等個別番号」であるが、 以下では全て略して記載する。
「地域番号」は郵便番号というものが始まって以来の「地域に与える番号」である。 当初は「集配郵便局の管轄範囲」に番号を与えるのが原則であったが、 配達方式の合理化などにより、これを少し細分した区域になっていた。 7桁化後は、「地名のうち番号で表現できない部分 (例えば「**何丁目」という場合の「**」までの部分)が 同じであるような区域に番号を与えるのが原則となっている。
「大口事業者番号」は、特に郵便物の配送が多い事業者に 「地域番号」とは別の番号を与えるもので、 この番号を書けば、住所を全く書かずに投函することができる。 5桁時代には「超大口事業者等」の番号と呼ばれていて、 7桁化直前でも約500事業者に限られていたが、 7桁化によって、これが約20000事業者に拡大された。

地域番号に関する原則

旧番号が5桁の場合は新番号の上5桁はそれを踏襲する。
旧番号が3桁の場合は新番号の上3桁はそれを踏襲する。 この場合、続く2桁は原則として「00」とするが、 地域が広いなどの事情がある場合には別の番号も使う。 その別の番号は「80〜84」「88」「08〜09」「11」とし、 既存5桁番号で使われていないものから選ぶ。
但し、7桁化を機会にビルの各階に番号を設定する場合には 「60〜61」「71」「77」を用いる。

地域番号に関する例外

3桁地域で、旧番号が新番号の上3桁と一致しない
約20例あります。四日市周辺で大々的に変更しているのと、 堺の政令指定都市化の際に予定されている区境界の先取りと思われるものが 目立っています。

5桁地域で、旧番号が新番号の上5桁と一致しない
100例を越えます。7桁化を機に隣の市町村と共有していた5桁番号を 別にしたという例が多いようです。

3桁地域で、4〜5桁目を「80〜84」「88」「08〜09」「11」 「60〜61」「71」「77」以外に設定
既存5桁番号と一致する場合を除くと5例あります。

3桁地域で、既存5桁番号と一致する上5桁に設定
検索するとたくさん出てくるのですが、 どうも旧番号の入力ミスと思われるものが多いようです。 信憑性の高いのは5例です。

参考:旧番号の4桁目が8、9の地域
3桁地域で新番号の4&5桁目を「00」としない場合に 第1原則として4桁目が8なのは、旧番号でほとんど使われていないからですが、 全く使われていないわけではありません。

参考:3桁地域で、続く2桁を“原則として「00」”にしていない例
言い換えると、3桁地域で、上3桁を保ったまま新番号の4〜5桁目を 「00」に設定した地域が存在しない例です。 約60例あるのですが、意味不明のものが多いようです。

大口事業者番号について

大口事業所番号については、あまりきちんと調べようとすると 大変な作業になってしまいます。 というのも、今回用いたデータには新大口事業所番号と 「旧大口事業所の場合は事業所の5桁番号、そうでない場合は地域番号」 だけが載っているのですが、大口事業所番号をどのように付けているかを 調べるには、事業所所在地の新旧地域番号が必要になるからです。 全データについてこれをきちんと調べる余裕はありません。
そこで、今回用いたデータの範囲内で新旧番号を照合して類推も交えて検討し、 パターンから外れているもののみ個別に地域番号まで含めて検討する という手法で、調べてみました。 その結果、得られた法則性は以下のようにまとめることができます。
・所在地の地域番号に基づいて決定するのが原則。 但し、事情があって地元局以外が取扱う場合は、 取扱局が主に担当する地域の地域番号に基づく。
・地域番号の上3桁または5桁をそのまま利用して、 下4桁または2桁を地域番号とは別の規則で決める。 地域番号の上3桁が旧3桁地域番号の継承である場合にはその上3桁を、 地域番号の上5桁が旧5桁地域番号の継承である場合にはその上5桁を、 各々継承するというのを原則とする。
・旧3桁番号地域で4〜5桁目を「00」以外に設定した場合には、 この4〜5桁目まで含めて5桁の旧地域番号と看做して扱うこともある。 逆に旧5桁番号地域で、その上3桁を3桁番号として使っていた 隣接旧3桁番号地域の一部と看做して扱うこともある。
・新地域番号の上位桁が旧地域番号の単純な継承でない場合には、 新地域番号の現状から「旧地域番号を単純に継承してこのようになるのは 旧地域番号がどのようになっていた場合か」を類推して考える。
・旧地域番号(看做しや類推を含む)が3桁の場合は、 4桁目を「8」(ごく一部で例外的に「9」)とし、 5桁目は上5桁がどの地域番号とも一致しないよう決定し、 下2桁は適宜割り振る。
・なお、4〜6桁目が「879」というのは郵政省の機関に用い、他には用いない。
・旧地域番号(看做しや類推を含む)が5桁の場合は、 6桁目を「9」または「8」とし、7桁目は適宜割り振る。
・ごく一部の旧5桁番号地域で、上4桁のみを継承して 5桁目は上5桁が地域番号と重複しないように定め、 6〜7桁目は適宜割り振る場合がある。
・いずれにしても、旧大口事業所の場合は、下2桁を継承する (つまり、旧番号の4〜5桁目を新番号の7〜8桁目とする) のを原則とするが、これには例外も多い。

具体的な分析手順は以下の通りです。
上3桁レベルでの例外の洗い出し
旧番号が3桁の場合
旧番号が5桁の場合
・上5桁と一致する地域番号が見出されるケース
・上5桁と一致する地域番号が見出されないケース

途中で気になったこと―旧番号を書くと混乱しかねない5つの例―
私書箱番号に関する分析
郵政省の機関に与えられた番号に関する分析
私書箱番号の分析で気になったこと

結果の信頼性について

特に不審に思った一部の場合についてのみ、 新番号実施に際して郵政省が各家庭に配布した1996年6月2日現在の 新郵便番号簿および添付正誤表との対照によって検証しています。 それ以外には、元データの正確性に関する検証は行っていません。
また、郵便番号は、一般に思われているよりも遥かに頻繁に改訂されています。 従って、現状の7桁郵便番号と一致しない部分も多々あると思われます。

1999年7月21日WWW公開用初稿/2011年1月3日METAタグ追加/2012年7月17日ホスト移転

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