官庁出先機関における「近畿」「中部」「東海」
NetNewsのfj.life.hometownなどで、
「近畿」
「関西」
「中部」
「東海」の範囲が何度も話題になっています。
この話題について考える上で、
各省庁の出先機関(地方支分部局)の管轄と名称も
大いに参考になると思われますが、
管轄まで詳細に突っ込んだまとめは今までありませんでした。
そうこうしているうちに、2001年中央官庁再編が目前に迫ってきました。
再編を契機に、各省庁の地方支分部局の再編も順次進むものと思われます。
そこで、その直前の段階の状況を整理して、
12月8日にfj.life.hometownに投稿した
(<90phbv$avj@nws-7000.lbm.go.jp>)のですが、
その内容を再整理して、WWW上でも公開します。
基礎資料はインターネットで探し出せた情報に限り、
今の話題に関連するもの、即ち全国を10地区弱程度の管轄区域に
区分するものについて情報を集めました。
結果の概要
-
三重は中部か東海か、とにかく名古屋管内に属する。
森林管理局では三重が「近畿中国」に属しているが、
全くの例外と考えるべき。何故なら、
「山のつながり具合」で管轄を決めていて
全国的にも地方境界が「普通でない」からである。
-
山梨は必ず関東に属する。新潟長野も関東に属するのが基本。
名称が「関東信越」になる場合もある。
但し郵政省関係は新潟長野(信越)で独立している。
また「新潟を含む北陸」で独立しているケースは少なくないし、
そこに長野も含まれるケースも存在する。
例外として、名古屋税関の管轄に長野が、
中部地方建設局の管轄に河川関係のみ長野南部が入る。
-
「中部」は以上の結果として三重を含み甲信越を含まないことになるが、
基本的には北陸を含む場合に用い、
北陸が名古屋管内でない場合は「東海」を使うのが基本である。
例外として、地方建設局と地方測量部は
「中部」と「北陸」が排他的になっている。
-
静岡は名古屋管内に属することが多いが、
法務警察司法関係と農政局・通商産業局・管区海上保安本部については
名古屋の管轄から外れて関東に属している。
特に農政局は北陸が管轄外でかつ名称が地方名のため、
「静岡抜きの東海」になってしまっている。
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福井は基本的に中部か北陸だが、近畿に入っていることも少なくない。
税関については石川富山も大阪管内になっているが、
これは神戸税関と大阪税関が共存していることもよっていると考えられる。
地方支分部局種別ごとのデータ
管轄域が判明しなかったもの
_公正取引委員会:事務所
_水産庁:水産研究所
×水産庁:漁業調整事務所
×工業技術院:地域研究所
※郵政省:簡易保険事務センター
_中央労働委員会:地方事務所
業務の性格上、管轄が日常的な「地方」と必然的に矛盾
_防衛庁:海上自衛隊地方総監部
_防衛庁:航空自衛隊方面隊司令部
_環境庁:国立公園野生生物事務所
_林野庁:森林管理局
※海難審判庁:地方海難審判庁・地方海難審判理事所
名古屋管内相当が存在しない
甲信越駿まで関東扱い
_防衛庁:陸上自衛隊方面総監部
※防衛施設庁:防衛施設局
三重福井まで関東扱い
※気象庁:管区気象台
北陸が分立
新潟を含まない3県で分立
_大蔵省:財務局
※国税庁:国税局△
▲郵政省:地方郵政局・地方郵政監察局・地方電気通信監理局
新潟込みで分立
_農林水産省:農政局〓
※海上保安庁:管区海上保安本部★〓(長野も込み)
#建設省:地方建設局★(長野北半分の河川系も込み/河川系南半分は名古屋管内)
#国土地理院:地方測量部
北陸3県が名古屋管内
静岡が名古屋管内
_人事院:事務局
_総務庁:管区行政監察事務局★
▽厚生省:地方医務局★△
◆運輸省:運輸局(海事のみ★)
静岡が関東扱い
_警察庁:管区警察局
※裁判所:高等裁判所
※法務省:法務局・高等検察庁・地方更生保護委員会・矯正管区・地方入国管理局
_公安調査庁:公安調査局
_通商産業省:通商産業局★
北陸3県が大阪管内
※大蔵省:税関(長野が名古屋管内)
※=名称に地方名を原則的に用いない(国税庁は「関東信越」が例外)
×=名称に地方名を使ったり使わなかったり
★=福井が近畿扱い
▽=「東海北陸」という名称を用いる
△=「関東信越」という名称を用いる
▲=「信越」が関東から分立
◆=信越に出羽2県を併せて「新潟」(地方名を使わないという意味でも例外)
〓=静岡が関東扱いで「東海」に含まれない
#=「中部」が北陸を含まない
(“_”は「一覧表」としての体裁を
整えるために入れたもので、意味はありません)
以上の一覧を作る際の作業過程で作成した、
全国的な管轄域をまとめたテキストファイル
も公開しています。
2000年12月31日WWW公開用初稿/2012年7月17日ホスト移転
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